福島県本宮市にある花と歴史の郷蛇の鼻は、四季を通して咲き誇る花々が鑑賞できる庭園です。

蛇の鼻御殿について

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福島県本宮の豪農伊藤 弥の邸宅として、1904年(明治37年)に建てられた。建物の材質の中には、現在では入手困難とされるものもある。玄関周りの巧妙精密な彫刻は、二本松市で200年以上続く橋本仏具彫刻店の初代(父)とその子(兄と弟)により彫られたもので、日光東照宮にみられる彫刻を参考にして製作された。また、各部屋の襖を飾る作品は、狩野派を主に、時代に名を残す画家たちにより描かれており、ほか伊藤博文や、三条実美、木戸孝允の扁額なども見ることができる。

IMG_5306蛇の鼻御殿は平成8年(1996年)12月、文化財保護法により登録有形文化財として登録されました。登録有形文化財は築後50年以上を経過し、造形の模範となり再現が困難な建物が対象とされています。

第一室 鷺の間

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鷺の間では狩野常信、喜多武清、菊田伊洲など、江戸時代の中期から後期に活躍した絵師たちの作品を見ることができる。なかでも、東 東洋や、菅井梅関、小池曲江らとともに仙台四大画家の一人に数えられる、菊田伊洲の作、『葦五位鷺図』は、この部屋を代表する作品である
「紅葉渓流図」狩野常信 襖2面 紙本墨画淡彩
 「山海図」喜多武清 襖4面 紙本墨画
「葦五位鷺図」菊田伊洲 襖4面 紙本墨画

 

 正面の扁額は、周防国(現山口県)出身の政治家で、初代内閣総理大臣を務めた伊藤博文が書かれたもので、『雲物寄遊観』の五つの漢字が表す意味は、『雲に寄せる遊覧』の思いがつづられている。
「雲物寄遊観」伊藤博文 扁額 紙本墨書

 

第二室 鹿の間

 
 鹿の間の襖を飾るのは、仙台藩御用絵師を勤めた東 東洋作の『鹿渓流図』である。正面の床の間は、床柱は香木の白檀、落し掛けはザクロ、床板には黒柿が用いられている。黒檀で縁取られた火灯窓も特徴的である。正面左側の違い棚上の扁額は、尊王攘夷派の公家で、明治天皇を補佐する太政大臣を務めた三条実美が書いたものである。
「鹿渓流遊図」東 東洋 襖4面 紙本墨画淡彩
「山桜野鳥図」松村景文 袋戸2面 紙本墨画淡彩
「親仁善隣」三条実美 扁額 紙本墨書
 
床柱「白檀」香木
落掛「ざくろ」
床板・違い棚「黒柿」
火灯窓「黒檀」

 

第三室 老松の間

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二階へと進むと、老松の間と千鳥の間に沿ってケヤキの一枚板の廊下が続く。秋田杉の一枚板の襖に仕切られて二十畳の大広間が二つある。老松の間の6枚の襖に描かれた作品は、茨城県北茨城市出身の日本画家、飛田周山が大正12年に、この建物に数カ月滞在し描いたものと言われる。床の間の床柱はビワ、床板は、ケヤキの一枚板、落し掛けは黒柿が用いられている。
「老松図」飛田周山 襖6面 板地着色
 「赤翡翠牡丹図」高久靄崖 天袋4面 紙本淡彩
 「欲託生涯江山是」木戸孝允 扁額 紙本墨書
 「百香院」森田悟由 扁額 紙本墨書
 
襖「秋田杉」
 床柱「枇杷」樹齢約400年
 落掛「黒柿」
床板「欅」一枚板
天板「屋久杉」

 

第四室 千鳥の間

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ケヤキの一枚板の廊下をさらに奥へと進むと第四室『千鳥の間』がある。秋田杉の一枚板に描かれた杉戸絵は、福島県棚倉町(現東白川郡棚倉町)出身の画家、勝田蕉琴作の『磯に千鳥の図』である。この作品は大正6年、この建物の主で、画家でもあった伊藤幟の招きでこの建物に数か月滞在した折、その御礼として描かれた。12枚の襖には、白波が打ち寄せる海岸を群れ飛ぶ千鳥が描かれている。蕉琴はこの作品を描くにあたりきっかけとなった作品があったとされ、その作品は現皇居の前身である、明治宮殿(1945年の東京大空襲の戦禍で焼失)に描かれていた*1狩野永悳作による千鳥の絵と言われている。また、この作品について伝わる話として、明治宮殿に描かれていた狩野永悳の作品は100羽の千鳥が描かれていたと言われており、蕉琴が描いた作品は1羽少ない99羽の千鳥が描かれている。1羽少なく描いたのは、作者蕉琴の皇室への敬意の表れとも言われている。

*1狩野永悳 幕末から明治期に活躍した狩野派の絵師、日本画家。安土桃山時代を代表する絵師、狩野永徳と読みは同じだが別人である。

「磯千鳥図」勝田蕉琴 襖12面 杉板着色
「野鳥図」狩野永悳 天袋4面 紙本淡彩
「掛軸三幅」寺崎広業 掛軸
襖「秋田杉」
床柱「松」四方柾
床框「黒檀」

第五室 黒柿の間(蔵座敷)

黒柿の階段を昇ると続きの二つの部屋がある。手前が第5室『黒柿の間』、その奥が第6室『梅の間』である。和歌山出身の日本画家、下村観山作による『富岳図』が床の間の中央を飾る黒柿の間は、部屋の名前の由来ともなった黒柿が、床板、床柱、床框、雲板とすべてに用いられている。このふんだんに用いられている黒柿とは材質の名称であり、普段見かける柿の突然変異で木の内部が墨を流したように黒く変化したものを言う。
「富獄の図」下村観山 壁画 紙本墨画
「雲上の富士」久隈守景 壁画 紙本淡彩
 「月夜の雁」谷 文晁、文一 襖1面 紙本墨画
 「梅に白鶴」平福穂庵 襖4面 紙本墨画淡彩
 
床柱・床板「黒柿」
天板「柿」
長押「檜葉」

 

第六室 梅の間(蔵座敷)

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二つの部屋は米蔵の2階部分に造られている。『梅の間』は、仙台四大画家の一人である菅井梅関作の『墨梅図』を見ることができる。この部屋の名前の由来になった作品でもある。床の間の落し掛けの材質は、かなりの年月を重ねたヤマブドウの蔓と言われる。
「墨梅図」菅井梅関 襖4面 紙本墨画
「あさり採り」谷 文一 襖2面 紙本墨画
「蒼龍山房」三井高敏 扁額 紙本墨書
 
床柱「印度紫檀」
床板 「黒柿」
落掛「ヤマブドウ」
天板「柿」

廊 下(二階)

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廊下板「欅」一枚板

蔵座敷階段

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 階段「黒柿」
  廊下「欅」

 

厠(渡り廊下脇)

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床板「黒柿・欅」
衛生陶器「瀬戸焼」

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